オシャレな経理 転職
要するに、金融政策の失敗が銀行機能の低下を招き、それが結果として構造改革を妨げているのである。
る貸し出しとは思えない。
そのような貸し出しをやめて、中小企業への貸し出しを行えば、より高い金利を得ることができ、経済全体としては貸し出しが制約になるというようなことにはならないだろう。
また、銀行が財務状況の悪い大企業への貸し出しを行っているとすれば、それはむしろリストラを遅らせ、長期的には経済効率を低下させることになる。
さらに、日本には多くの中小企業向けの公的金融機関があり、不況になれば貸し出しを拡大する政策が採用される。
これは長期的に経済効率を低下させることになるだろうが、短期的には景気を下支えする。
公的金融機関の貸し出しが効率を低下させるとしても、それは90年以前からなされてきたことであり、90年代の低成長の要因にはなりえない。
政府系金融機関は90年以前から存在したが、それが大きくなったのは90年代である。
政府系金融機関の貸出残高は、91年3月末の100兆円から、2002年3月末の173兆円まで増大した。
これが経済効率を低下させたのは事実だろうが、不良債権の山をつくった民間銀行とくらべて顕著に効率が低く、その大きさが大停滞のかなりの部分を説明できるという証拠を見出せるとは思えない。
政府系金融機関の肥大化は、デフレによる不況によってやむなくなされた面があり、これも金融政策の失敗の結果だといえるだろう。
銀行の資産が穀損し、それが貸し渋りや貸し剥がしを生むということが問題であれば、金融緩和政策によってデフレを食いとめることが正統的な対処法である。
銀行に資本注入しないかぎり景気はよくならないという議論は怪しげである。
現実に、90年代の2つの景気回復(95年と99年)は、銀行貸し出しが減少するなかで生じている。
もっとも、たしかにマネーサプライともあまり連動しているようには見えない(ただし、貸し出し、マネーサプライ、貸し出し以外の資金調達、事業株式、企業間信用のGDPに与える影響を統計的に検定すると、マネーサプライとの関係がもっとも強いという関係になった)。
もちろん、銀行機能が回復していないから90年代の景気回復は弱々しいのだという反論は可能であるが、あとで示すように、ほかの要因で90年代の停滞のかなりの部分が説明できる以上、銀行部門の役割は決定的とは思われない。
また、景気がある程度回復していた96、97年と、銀行の貸し渋りが問題となった98、99年の、県内総生産と県ごとの銀行の健全性を比較して、両者になんの関係もないことを見出している。
金融機関の状況を都道府県別に把握する指標はさまざまに考えられるが、H・Kは、「週刊D号」(1999年102月)に掲載された銀行安全度ランキングの総合得点(加重平均)を用いている。
これは個別銀行(都銀.長信銀.地方銀行.第二地銀)に関する10の指標をもとに同誌が独自に算出した評点であり、銀行健全性に関する総合指標である。
その指標を県単位で利用するため、各銀行を本店所在地選り分け、各県ごとに個別銀行の資産規模をウェイトに加重平均した指標を、都道府県別の金融健全性の評点としている。
兵庫県の突出した動き(低い評点と低成長)から右上がりの図に見えないこともないが、兵庫県の低迷は95年の震災後の復興関連官需の反動減によるものであり、貸し渋りが生産を押し下げた結果ではない。
デフレが先か、不良債権が先か不良債権とデフレーションについては、2通りの考え方がある。
デフレは不良債権によって生まれているので、不良債権を処理すればデフレが終わるという考え方と、デフレこそが不良債権をつくりだしているのであって、デフレが終わらないかぎり不良債権はなくならないという考え方である。
このほか、優良銀行県と呼べる静岡、岡山などでも、全国平均と同等ないしそれ以上の低迷が生じている。
また、担保価値が低下し、それが銀行の貸し出しを阻害しているとすれば、対応は金融緩和によって資産価値の下落を食いとめることである。
そもそも、銀行への資本注入で何が変わるのだろうか。
問題は銀行が多すぎることである。
多すぎる銀行に対して、銀行類似の公的機関、すなわち、日本政策投資銀行、国民生活金融公庫、住宅金融公庫などがあって、その貸出残高は前述のように一73兆円におよぶ(第二地銀までの民間銀行の貸出残高は477兆円である。
N銀行「資金循環勘定」による(2003年3月末の数字)。
資本注入すれば、淘汰されるべき銀行が残って、多すぎる銀行は多すぎるままである。
しかし、不良債権が経済に与える影響についての実証分析は、不良債権についての統一された基準での長期データがないことから、ほとんど行われていないようだ。
ここでは、キャッシュフローから見て合理的な期間で返済できない債務は過剰な債務であるとして推計した過剰債務を不良債権の代理変数とした分析を紹介しよう。
不良債権とデフレーションないし経済停滞との関係は、次のように整理されるだろう。
デフレが不良債権を増大させるのは、以下の経路から理解できる。
物価が下落しても賃金を引き下げることが難しければ、利潤は圧縮され、返済すべき原資は減少する。
金利が物価の下落ほど低下しなければ、やはり利潤を圧縮する。
名目の債務契約は変更できないので、債務の実質的な元本はデフレによって増大する。
これらのことから、デフレが不良債権を増大することは当然である。
一方、不良債権がデフレをもたらす経路はそれほど明白ではない。
不良債権が銀行機能の低下をもたらすとしても、銀行以外のチャンネルがあれば、需要の低下は限られるだろう。
ひとつ考えられる経路としては、財務的に脆弱な企業が資産を保有していれば、資産価格は回復しないという経路である。
たしかに、つぶれそうな企業が資産をもっていれば、つぶれて土地が吐き出されるまで待っていようと人びとは思うだろう。
しかし、これらの経路がどれだけ大きいかは、実証分析によらなければわからない。
過剰債務を、実質公共投資(公的資本形成)、マネーサプライ、為替レート、国内卸売物価、実質賃金、実質GDPで説明した計量分析によれば、過剰債務が物価や実質GDPなど他の変数に与える影響はほとんどないが、物価が過剰債務に与える影響は大きい、という結果になった。
91年第二4半期からマイナスが続いている国内卸売物価指数がゼロで推移していた場合、過剰債務は4分の1に縮小するという結果になっている。
不良債権は過去のバブルのつけではなくて、デフレによって生まれている現在進行形のものである。
したがって、デフレがとまれば縮小するだろうが、デフレが続くかぎり、不良債権はいくらでも湧き出してくるだろう。
停滞の銀行理論にはなんら根拠がない。
90年代以降の停滞に関して、「銀行理論」ともいうべきものがある。
確たる論文はないが、当事者の証言をつなぎ合わせると、次のようなストーリーが描ける。
90年代はじめに金融政策や銀行監督に携わった人びとは、不良債権の深刻さに気づいていた。
93年の5月には、N銀行の役員会で、不良債権の額は推計50兆円という数字が具体的に議論されていた。
にもかかわらず、抜本的な対策がとられることはなかった。
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